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【人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)】

<概念>

 人工股関節置換術は、大腿骨頭および、寛骨臼がともに高度に破壊された末期股関節症に対し適応される手術方法である。

<セメントレスTHA>

 臼蓋側コンポートネント自体がねじ込み式になっているものや、ネジで固定する方式などの機械的に骨と固定する方法に加え、骨新生(bone ingrowth)を誘導するような表面加工が施されている。比較的若年者にも適応があるとされている。現在では形状や表面加工の異なる色々の種類が開発されている。臼蓋側は、円柱型打ち込み式(judet)、円錐型ねじ込み式(Lord)、半円球型打ち込み式(PCA)、スパイク式(JIAT慈恵医大)などに代表される。大腿骨側stemは、なるべく骨髄腔に適合する形状(fit and fill)で中枢側に表面加工porous coatingされているものが多い。

<適応>

 他の方法では治療困難な末期股関節症で、日常の活動性の低い比較的高齢者が適応となる。これは、各種の人工股関節の長期成績では、15年の累積生存率が60%前後であり、将来再手術の必要性が十分考えられるからである。骨の老化や、摺動部からの摩擦粉による骨融解などの原因による人工関節の緩みの問題がいまだ解決されていない。

  • 時期:初期・進行期股関節症では前述した各種の骨切術が望ましい。関節機能を全廃した末期股関節症が適応となる。
  • 年齢:セメントレスの場合比較的若年者にも適応を拡大しているが、一般的には60歳代以降が適応となる。
  • 活動性:摺動部の摩耗や人工関節に加わる負荷を少なくする意味で、活動性の高い職業等には適応しない。若年者で重労働を行う男性では関節固定術を勧めている。
  • 体重:肥満は③と同様の意味から適応に注意を要する。
  • 理解力:術後は疼痛や運動制限から解放されることになり、極端に活動性が高まることが多い。ある程度の自制心が必要であるとともに、再手術の可能性が常にあることを理解してもらう必要がある。術前のインフォームドコンセントが大切である。

 <禁忌>

  • 全身性、局所の感染症
  • 神経病性関節症
  • 高度の肥満
  • コントロールできていない糖尿病
  • 高度の痴呆(脱臼の危険性が高い)

<骨セメント固定・セメントレス>

人工股関節の緩み(loosening)は、人工関節の磨耗・破損などとともに大きな問題点となっている。

○セメントレスでの術後荷重時期

一般的には、骨が入り込む術後4週か、骨増殖による固定力が80%を越えた術後8週から荷重開始することが多い(骨増殖の終了は12週)。

<理学療法>

 ※股関節の過屈曲(90°以上)、屈曲・内転・内旋の複合運動は禁忌。

  過外旋も大転子が臼蓋に接触し危険

 目安として

  股関節屈曲位では外旋は40~50°、内旋は15~20°

  股関節伸展位では外旋は20~30°、内旋は屈曲位よりも可動域が増す。

○筋力低下

  股関節外転筋力の強化は脱臼予防に重要である。

○脱臼肢位    屈伸中間位での内旋や単独の内転運動での脱臼は少ない。

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