整形外科疾患

股関節手術後療法の注意点について

股関節手術後療法の注意点

<術後の早期合併症>

 股関節手術の早期合併症として念頭におくべきものは、

  • 深部感染
  • 深部静脈血栓
  • 血清肝炎        の3つである。

 これらは、他の部位の手術でも当然警戒しなければならないが股関節手術は手術部位が深部であり、体内異物を必要とする手術が多いこと、侵襲が大きいこと、総腸骨静脈に近い部位で手術すること、出血が多量になりやすいことなどから、これらの合併症にとくに注意しなければならない。

(深部感染)

 術後一週間以内に発熱が軽快しない場合、浸出液が持続している場合、皮下血腫が明らかに存在する場合には警戒を要する。さらに2週間目でもこの状態が続くならば、血腫除去手術の準備をする。通常、2週間以内であれば感染は骨髄に達せず、また金属などの異物を除去する必要はない。手術は創を切開し、抗生剤入りの洗浄水で十分洗浄し、血腫および壊死した軟部組織を除去する。

(深部静脈血栓症)

 股関節手術では40歳以上、肥満体、心血管系の異常、片麻痺のある患者、静脈瘤のある患者ではこの発生に注意する。症状は術後1~2週間以内での一過性の発熱のあとにおこる主に左側の下肢の全体的な腫脹である。疑わしい場合はただちにウロキナーゼを投与し、下肢に血栓症予防のストッキングを装着させる。確定診断には足背静脈よりの静脈造影を行う。血栓の部位が限局していれば、発症1週間以内にウロキナーゼを投与することで血栓除去術をしなくてもよいとされている。しかし、深部静脈血栓症は治療より予防が大切であり、手術後なるべく下肢を固定しないですむような手術法を選択すること、下肢を早期より自動運動させることが重要である。

(血清肝炎)

 前駆症状として、術後3~4週以降の不明の発熱、血沈値上昇がある。術後1ヶ月頃に肝機能検査をすることが必要である。

<参考文献>  整形外科手術後療法ハンドブック;南光堂

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