手技、技術系

ストレッチの分類、種類、ストレッチ方法について

❖持続時間による分類

① 動的ストレッチング
反動を勢いよくつけて瞬間的に強く筋をストレッチする方法。伸張反射を誘発して必ずしも筋・腱がストレッチされないこと、反動をつけるために筋や腱の断裂を生じうることなどから、最近ではあまり使用されない。

② 静的ストレッチング
反動をつけずにゆっくりと筋・腱をストレッチしていき、最大伸張位置で止めてしばらく維持する方法。伸張反射を生じないのでストレッチ効果が大きく、反動をつけないので筋・腱を断裂することが少ない。

❖自分で行うかパートナーが行うかによる分類

① セルフ・ストレッチ
自分ひとりで行うストレッチング。①拮抗筋の力を使う、②上肢の力を使う、③自分の体重を使う、④ゴムやウエイト・マシーンなどの物や器具を使う方法がある。

② パートナー・ストレッチング
パートナーの介助によって行うストレッチング。パートナー・ストレッチングは以下の2つに大別できる。
⑴通常型のパートナー・ストレッチング
通常のトレーニングとして選手同士や、リハビリテーションとして理学療法士が、またマッサージなどでマッサージ師が行っている方法。基本的には関節可動域の関節の運動方向にパートナーが動かして、最大の角度となったらそれを30~60秒間維持してストレッチする。まず末梢の小さい関節からはじめ、1つずつの関節の運動(単関節運動)から、上肢全体・下肢全体というような複数の関節群の運動(複合関節運動)へとすすめ、小さい筋肉から大きい筋肉へとストレッチしていく。
⑵ファシリテーション・テクニック・ストレッチング
リハビリテーション医学の技術であるファシリテーション・テクニック(神経筋促通法)を応用したストレッチング。ファシリテーション・テクニックに共通している原理は「特有な誘い出し手技(伸張反射・叩くなどの促通法)を用いて、固有受容器を刺激し、何らかの運動反応を引き出す技術」である。
ファシリテーション・ストレッチングのテクニック全体の流れの一つとして、第一段階に自動的可動域訓練で自分の力で目的関節の最大可動域を得る訓練を十分に行い、第二段階にファシリテーション・ストレッチングとして、可動域を拡大する主働筋群を最大収縮させ、同時にその拮抗筋群(ストレッチされる筋)を完全にリラックスさせることを習得する。筋は最大収縮したあとに最大弛緩が得られるというファシリテーションの原理に基づき、まずストレッチしたい筋を最大収縮させ、すぐにリラックスさせてその拮抗筋を収縮させてストレッチする。これを繰り返してストレッチさせる。

❖リハビリテーション・ストレッチングとは

障害のある場合に、痛みやスパズムによる筋短縮や、関節疾患で筋の伸張ができない場合(ギプス固定を長期間行ったあとなど)の廃用性筋萎縮によって生じる筋短縮に対し、理学療法の一つの手段としてストレッチングが用いられる。方法としてまず伸張しようとする筋に対してのリラクゼーションから始め、障害の状態に応じていろいろなストレッチングの方法を選んで行う。

❖リハビリテーション・ストレッチングの分類

❐時間による分類
① 短時間で行い、リズミカルに伸張する方法
② 持続的に長く静止して伸張する方法

❐運動方法による分類
① 他動的伸張法:他動的に行うもの(矯正マッサージなど)で、関節周囲軟部組織(筋・腱など)の障害があるときに用いる。

② 自動的伸張法:自分の筋力で伸張する方法
⑴介助自動的伸張法:拮抗筋(目的とする筋と反対の作用する筋)を収縮させ、さらに技師による他の力で補助していき、これによって短縮した筋の伸張を行う。
⑵自動的伸張法:⑴の介助力を用いないもので、拮抗筋の収縮により短縮した筋の伸張を行う。
⑶抵抗自動的伸張法
ⅰ)短縮している筋の拮抗筋を強化することにより、短縮筋の伸張を図る。
ⅱ)短縮している筋に抵抗を加え、最大収縮させた後にすぐに弛緩させると強い弛緩が得られるので、これを利用してストレッチする。

<参考引用文献>
 新・ストレッチングの実際     南江堂

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