脳卒中片麻痺後の肩の痛みの原因と治療方法について

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はじめに

片麻痺の肩関節に痛みをともなった関節可動域制限を持つ患者は7,8割に達する。原因はいくつか考えられる。 

キャリアスタート

原因

⑴姿勢

姿勢によって肩関節の屈曲角度は異なる。(下表参照:背臥位>側臥位≒坐位≒立位)

姿勢による肩関節他動的屈曲角度の比較

⑵痙性

連合反応、すなわち痙性による影響。痙性が直接的な原因で関節が固くなっている場合には固さがあっても鋭い痛みはない。上肢の共同運動屈曲パターン。

共同運動

⑶肩手症候群

肩手症候群では肩や手に強い痛みを伴う拘縮に発展する。この場合、背景に浮腫があり筋緊張よりも関節構成体の線維化が拘縮の原因になりやすいので、関節運動学的に丁寧な伸張運動を行う必要がある。一般的に経過は数ヶ月かかり収束に向かうが、前期では肩も手もかなり激しい痛みを伴うことが多いので愛護的に他動運動を行う。

肩手症候群:反射性交感神経性ジストロフィーと考えられている。肩と手の強い疼痛を伴う運動制限が主な特徴で、数ヶ月から半年ほどの経過で痛みは軽減していくが、骨萎縮や強い拘縮が残る。肩や手関節周囲の何らかの傷害が原因と考えられており、その取り扱いに注意しなければならない。上肢関節の強い痛みと手の浮腫および拘縮の起こり方は尋常でなく、愛護的にかかわる必要がある。手指では他の片麻痺のような屈筋の筋緊張亢進による屈曲拘縮と異なって伸展位になり、強い屈曲制限と伸展最終域での強い痛みを伴う。

⑷防御的筋収縮

筋の防御的収縮によって可動域制限が起こっている場合、抵抗に伴った鋭い痛みが出現する。その筋に該当するトリガーポイントなどを刺激して反応を見る。同じ筋緊張の亢進でも痙性との大きな違いは伸張痛と圧痛を伴うことである。当該筋を同定し、直接アプローチする。

特に注目すべき筋は肩甲下筋と小円筋ではないかと考えている。

《肩甲下筋の場合》

屈曲制限に加えて外旋が制限されているとき。肩甲下筋は烏口突起より2,3cm末梢(下図参照)を前方から痛みのない範囲で10~15秒程度、軽く圧擦すると弛緩しやすい。

烏口下三角の刺激
烏口下三角とT-T点刺激前後の片麻痺麻痺側関節可動域変化

《小円筋の場合》

屈曲制限に加えて内旋が制限されているとき。小円筋は上腕三頭筋長頭との交差部分(仮称:T-Tcross下図参照)を前方から痛みのない範囲で10~15秒程度、軽く圧擦すると弛緩しやすい。

T-T刺激点
T-T点刺激

脳梗塞脳出血に関する記事はこちら

【参考・文献】

  1. 細田多穂・柳澤健 編集:理学療法ハンドブック第1巻(改定第3版) P30‐34,協同医書出版社2001
  2. 奈良勲監修:運動療法学 各論 P113,医学書院2001
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