難病

反射性交感神経性ジストロフィー

反射性交感神経性ジストロフィー

―Reflex sympathetic dystrophy―

<概念>

 Mitchellは末梢神経損傷に引き続いて起こる耐え難い痛みを主症状とし、自律神経症状を伴う症候群をカウザルギーと呼称したが、現在では神経損傷とは無関係に同様な症状を来す多くの疾患も含めて反射性交感神経性ジストロフィー(異栄養症…以下RSD)とよんでいる。この病型を5型に分類したLank-ford分類が現在最もよく用いられている。

<病態>

 発症機序はいまだ明確にされていないが、次のように考えられている。外傷などの侵害刺激が加わると防御反射として一過性の交感神経緊張状態が生じ、末梢血管が収縮されて局所の出血や炎症が鎮静化される。やがてこの一過性の交感神経緊張状態は終焉し、血管は拡張されて組織修復が行われる。ところが何らかの原因により交感神経が過剰に反応し緊張が持続されると、長期にわたる血管収縮のために局所は低酸素、アシド-シス、栄養の低下(異栄養)が生じる。これが疼痛の原因となり、新たな侵害刺激となって悪循環が形成され、RSD発症にいたると考えられている。

<臨床症状>  

最も特徴的な症状は激烈な自発痛である。疼痛は外傷の程度とは不釣合いに強く、損傷神経の支配領域にとどまらないことが多い。また皮膚に触れたり、患肢の自・他動運動により疼痛の誘発がみられる。持続する激しい疼痛のために時に心理的な不安から不眠や不穏症状をみることもある。皮膚症状も特徴的で、初期には皮膚の発赤、腫脹、皮膚温の上昇、発汗過多などがみられるが、次第に皮膚は光沢を失い蒼白、萎縮し皮膚温の低下、発汗の減少がみられる。また爪の変形も出現し進行するとpencil-pointingと呼ばれる指の先細り現象を認める。一方、他覚所見では局所の浮(水)腫が重要である。初期には皮膚や皮下の柔らかい腫脹としてみられるが、持続すると関節の腫脹や硬化が出現し、関節拘縮を引き起す。

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