解剖
起始と停止:脛骨の前顆間区から大腿骨外側顆の内側縁に至る
機能:大腿骨に対する脛骨の前方移動、膝屈曲時の脛骨の外旋、わずかであるが膝の伸展、過伸展を予防
発症機転
バスケットボールなどのスポーツ競技で飛び上がった後着地したとき、走っていて急に方向転換したときなど膝関節に前方引き出し力が作用したときに単独損傷しやすい。半月板損傷は40~60%に合併する。数時間以内に関節が著しく主張し、関節血症を認める。陳旧例ではジャンプや急な方向転換を要するスポーツ動作で膝くずれ(giving way、buckling)を繰り返す。
術式
STG BTB
評価
1.問診
スポーツをしているか、受傷機転、どのようなことをして受傷したのか、痛みの有無どこがどのように痛いのか痛みの質についてなどを細かく調査
*手術が施行された場合に主治医からの情報収集で確認すべきこと
①侵入方法と切開した筋:筋力低下とその訓練方法や脱臼肢位に関係
②術中に確認した関節周辺の状態:ROM制限の原因追求の有力な情報となる
③麻酔下での最大ROMや脱臼肢位と角度:ROM訓練の目標設定と脱臼のリスク管理に重要
④骨セメントの使用の有無:術後のプログラムに大きく関係する
2.整形外科テスト
①Lackmanテスト
患者を仰臥位とし、膝軽度屈曲位(20~30°)で大腿遠位部を片手で把持し、他方の手で脛骨近位端を前方引く。断裂があると、脛骨は前方へ引き出される。
②軸移動テスト(Nテスト)
膝を屈曲位から伸展させる際に膝外反・下腿内旋のストレスを加えるテスト。陽性例では約20°屈曲位で頸骨外側関節面が突然ガクッと前方へ亜脱臼を起こし、患者は不安感や疼痛を訴える。
③前方引き出しテスト
膝を90度屈曲位とし、患者の足を検者の殿部で軽く固定した状態で、両手で脛骨近位部を前方へ引く。疼痛のために膝の屈曲が困難な急性期ではLackmanテストのほうが有用である。
3.感覚検査
4.ROM‐T
5.MMT
6.形態測定
7.アライメントFTA
- Q角度
- 膝蓋骨の動き
- 下腿の回旋
- TKA線
- 足部のアーチ
8.ADL
9.動作、歩行分析
10.ADL
治療アプローチ
治療方法は手術を行わない保存的療法と手術による観血的療法がある。スポーツをする方に対しては観血的療法が選択されることが多い。
○手術後の大まかなリハの流れ
術後肢位:膝関節軽度屈曲位またはknee brace固定
1日:四頭筋と膝屈筋の等尺性運動を開始
3日:ACL装具にて自動介助及び自動運動開始 CPM0~60°より開始
SLR及び逆SLR開始
2週:0~130°まで可動域増強 部分荷重歩行開始
3週:等張性訓練開始
4週:荷重量増加
6週:全荷重歩行
12週:装具除去、動的訓練を取り入れていく
退院の目安:5週前後、松葉杖にて安定した歩行が可能なこと
・四頭筋、膝屈筋のマッスルセッティング
膝を伸展位にしたままで膝蓋骨を中枢方向へ引き上げる訓練で、膝窩部にタオルを丸めたものなどをおきそれを押してもらうように支持する。大腿四頭筋の収縮は3~5秒間行わせその後力を抜かせる。これが十分に行えるようになりMMTが3+以上あるなら膝を伸展位に保持したまま反対側の膝の高さまで下肢を3~5秒間挙上するSLR訓練を行う。膝屈筋は背臥位での逆SLRを行う。
・可動域運動
再建靭帯に加わる聴力が大きいとされる最終伸展域の獲得は、膝関節の安定性に留意しながら慎重に行う。可動域の拡大には滑車や重錘などを利用。
・筋力増強運動
チューブトレーニング…
膝伸筋群のトレーニングでは大腿四頭筋の収縮力によって下腿が前方へ引き出される力が働き、特に左大心転位付近で再建靭帯に大きな不可がかかりやすい。そこで下腿の近位部にチューブを強く巻き、これに抵抗して膝を伸ばすトレーニングを行う。膝を伸ばすにしたがってチューブが緊張して負荷が増し、同時に下腿が前方へ引き出される力を反対方向へ制動する。チューブによって運動範囲と筋力に応じた負荷抵抗を調節できる。また同時に内側広筋の収縮を再教育するため、電気刺激を利用するのもよい。
ダンベルトレーニング…
膝窩部にボールなどを置き膝関節の設定範囲での①膝伸展②下肢挙上③保持④緩やかな下腿の下制により、大腿四頭筋の等張性、等尺性、遠心性の筋収縮トレーニングを行う。
・荷重トレーニング
エルゴメーター…
再建靭帯にかかる不可がきわめて少なく、術後早期に開始可能。可動域拡大にも使用。スポーツに復帰する場合は抵抗値と時間の設定により心配機能を含めた全身持久力の維持増強を図る。
スクワット…
体幹を前傾させたハーフスクワットは膝屈筋の筋活動が増大し、再建靭帯への不可が少ない。
・スポーツトレーニング
・テーピング