解剖

回旋筋腱板についてrotator-cuff

回旋筋腱板についてrotator-cuff

 肩甲-上腕関節の安定化は、腱板により補強されている。関節包の上半分は、すべて腱板と癒合している。肩甲-上腕機構の基本要素の一つとしての関節包の重要性は、この部分の生理学的機能および病理学的病変により再認識される。 

 4つの筋肉(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)の腱は、関節の上方部分を大きく覆っており、関節包とともに線維性筒の均一構造物を形成している。腱板の末梢部分は、たいへん密接に関節包と結合しているので、それらを分離するのは非常に困難である。それゆえ、関節包の上方部分は、たんなる関節包というよりも、関節窩としての形態をとっている。腱板は平均6~7㎜の厚さをもち、たいへん強力で強靱である。さらに重要なことに、腱板は非常に血行に富んでいる。これらの腱板の中でもっとも重要なのは、棘上筋である。棘上筋は棘上窩よりおこり、その腱部分は、鳥口肩峰アーチの下を通って上腕骨頭の彎曲部分を通過した後、上腕骨大結節に付着する。

 棘上筋の作用は、回旋作用(外転)と安定化作用(関節窩に対する上腕骨頭のひきつけ)の2つに分析される。棘上筋の働きでは、安定化作用がより重要である。

  1. 関節包の弛緩性
  2. 関節表面の適合性の悪さ
  3. 関節窩の垂直性

上記理由のため、上腕骨頭を関節窩に対して引きつけ、維持させる為には、特別な力学的機構が必要であり、また上腕骨頭を脱臼させることなく、上腕骨頭全体を運動させる為にも棘上筋が重要である。

すべての運動の開始時に於ては、棘上筋が緊張することで上腕骨頭を関節窩に引きつけ、維持し、運動の中心部を固定させる。また、この棘上筋は腕安静下垂時での唯一の懸垂作用筋でもある。棘上筋には、このように過度の機能的負担が課せられているため、非常に疲労し易い。このため、正確に棘上筋を作動させ続けるには、他の腱板の筋肉、特に棘下筋、肩甲下筋の補助的作用が必要となり、周囲の解剖学的構成の統制が要求される。しかし、それにもかかわらず、棘上筋は損傷を受け易く、これが肩の弱点の一つである。

<参考文献>図解 関節・運動器の機能解剖;協同医書出版社

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