整形外科疾患

コンパートメント症候群

コンパートメント症候群

―compartment syndrome―

<概念>

 四肢の筋肉、血管、神経組織が強靭な筋膜、骨間膜、骨組織によって囲まれている空間を隔室(compartment)といい、この内圧が、外傷(骨折、脱臼、圧挫)、主要血管の損傷、重度熱傷、電撃症、蛇咬傷、睡眠薬中毒による長時間の圧迫、さらに医原性として手術後、ギプス固定、筋肉の過度使用など種々の原因により上昇し循環不全が生じ、筋肉、神経組織の壊死、機能障害を起こしてくるものをコンパートメント症候群という。急激に発症する急性型と運動後に一過性に発症する運動型(反復性型)がある。

<好発部位>

 前腕掌側のVolkmann拘縮、下腿前面の脛骨前筋症候群(anterior tibial compartmental syndromeが多い。稀に下腿のlateralに発症する。

<臨床症状>  

 症状は一般に上記の原因の後に、急激に発症してくる疼痛(pain)、知覚異常(paresthesia)、麻痺(paralysis)、腫脹(puffiness)、蒼白(paleness)、脈拍消失(pulselessness)のいわゆる“P”徴候を呈する。前腕では、指は屈曲位をとり自動運動が制限され、他動的伸展時の激痛が特徴的である。下腿では、まず疼痛が下腿前面に現れ、安静にしても軽快せず、圧痛、発赤、腫脹と散在する小硬結を認める。下腿では足関節背屈不能となり1~2趾背側の知覚障害を伴う。これら進行期の症状は激烈で、患者は不穏状態に陥ることも稀でない。運動型は下腿に起こるが、これは筋肉内の細動脈が55㎜Hg圧で閉塞されるので、大きな外傷がなくても、スポーツ活動後の筋腫脹により起こりやすいためである。症状は疼痛、筋力低下、知覚異常が生じる。安静にて症状が軽快し、可逆性であるのを特徴とする。

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